05 つらさと暮らし / 緩和ケア
つらさを和らげて、
あなたの毎日を支える。
痛みのことも、不安のことも、暮らしのことも。
「緩和ケア」で、一緒に考えられます。
「緩和ケア」という言葉を初めて聞いて、戸惑った方もいるかもしれません。まず知ってほしいのは、治療を受けながら、今のつらさを相談できるということです。
緩和ケアは、診断されたときから。
緩和ケアは、病気に伴うつらさに早く気づき、和らげ、ご本人とご家族の生活を支えるケアです。手術や薬など、がんへの治療と並行して受けられます。
がんを治す・進行を抑えることなどを目指す
つらさを和らげ、日々の暮らしを支える
診断を聞いて不安なときも、治療による症状に困ったときも、治療が一段落したあとも。必要な支えは、そのときの困りごとに合わせて考えます。
「痛い」以外のつらさも、聞かせてください。
緩和ケアが大切にするのは、体の症状だけでなく、その人の暮らしや思いも含めて支えること。こんなことも、相談のきっかけになります。
体のつらさ
「痛くて、夜に何度も目が覚める。」
痛み、息苦しさ、吐き気、だるさなど。体の症状が、眠ることや食べることの妨げになることもあります。
体のつらさを伝えるメモへ心のつらさ
「検査の結果が気になって、落ち着かない。」
不安や悲しさ、怒り、孤独など。気持ちのことを話すのに、うまく説明できる必要はありません。
気持ちについて読む暮らしのつらさ
「仕事を休んだら、生活はどうなるんだろう。」
お金、仕事、家事や育児、家族との関係。生活の心配も、相談してよいことです。
暮らしを支える制度へ自分らしさが揺らぐつらさ
「前のようにできない自分に、戸惑っている。」
大切にしてきた役割や、自分の存在の意味が分からなくなることも。すぐに答えが出ない思いも、話してかまいません。
このつらさについて読むつらさが重なっているとき:トータルペインという考え方
体の症状が気持ちや生活に影響し、生活の心配がつらさを強めることもあります。こうしたつながりを含めて理解する考え方が、トータルペイン(全人的苦痛)です。
体の症状は、原因を確かめて対処することが大切です。それと一緒に、心や暮らしの困りごとにも目を向けます。「気の持ちようだから」と片づける考え方ではありません。
急に症状が強まったときなどは、医療機関への連絡を優先してください。病院から連絡の目安を伝えられている場合は、その指示に従ってください。
「自分らしさが揺らぐ」って、どういうこと?
家族を支えてきたのに、今は頼ることが増えた。好きだった仕事から離れ、自分の居場所が分からなくなった。そんなとき、自分の価値や、これから生きる意味まで揺らぐことがあります。
医療では、こうしたつらさを「スピリチュアルペイン」と呼ぶことがあります。宗教に関わる悩みも含みますが、信仰の有無にかかわらず生じうるものです。
すぐに前向きな答えを見つけなくても。「前の自分と変わってしまった気がして、つらい」。その言葉から、聞いてもらってかまいません。
どんなふうに、支えてもらえる?
体を少し楽にする
症状の原因や使っている薬を確かめ、治療や日常の工夫を考えます。
気持ちを話せる相手を見つける
不安や眠れなさを相談し、必要に応じて心のケアの専門家にもつないでもらえます。
暮らしの負担を減らす
使える制度や仕事の調整、家で過ごすための支援を、相談員などと一緒に探します。
大切にしたいことを共有する
「家族と食卓を囲みたい」「少し仕事を続けたい」。その希望を、治療や生活を考えるときの手がかりにします。
すべてを一度に解決できるとは限りません。まずは、今いちばん困っていることを一つ伝えるところから。
最初は、いつもの医師や看護師へ。
専門の窓口を探す前に、担当の医師や看護師に話してかまいません。必要に応じて、緩和ケアの専門家、薬剤師、心理職、生活や制度の相談をするソーシャルワーカーなどと一緒に支えます。
「治療のことと一緒に、今のつらさも相談したいです。緩和ケアの先生や看護師さんにも、相談できますか?」
相談先に迷ったら、がん相談支援センターへ。ご本人もご家族も無料で利用でき、その病院に通っていなくても相談できます。
支えているご家族へ
本人のことが心配で眠れない。付き添いや家事で疲れ切っている。ご家族の負担や不安も、相談してよいものです。
本人の前では話しにくいときは、別に話す時間をお願いしてみてください。
支える人のケアについて読む →通院中も、入院中も、自宅でも。
緩和ケアを受けるために、必ず転院や入院をするわけではありません。今の治療を受けている病院や、地域の医療者に、受けられる支援を尋ねてみましょう。
緩和ケア外来・チーム・病棟は、どう違う?
緩和ケア外来は、通院して専門的な相談や診療を受ける場所です。緩和ケアチームは、担当の医療者と協力し、複数の専門職で支えます。
緩和ケア病棟は、つらさを和らげる専門的なケアを中心に受ける入院の場です。「緩和ケアを相談すること」と「緩和ケア病棟に入院すること」は同じではありません。
自宅では、在宅医や訪問看護師などの支援を受ける方法もあります。受診・入院の条件や、利用できる体制は施設・地域で異なります。
病棟・ホスピス型住居・自宅の違いを読む →うまく話せないときは、この3つだけ。
つらさの名前が分からなくても、大丈夫。「いつ、何がつらいか」「そのために何に困るか」「どう過ごせたらうれしいか」。書けるところだけ、診察に持っていけます。
「夕方にだるくなって、夕食の支度ができません。家族と食べる時間は、大切にしたいです」
小さなメモ
相談したいことを、3行に。
入力内容は送信・保存されません。残したい内容は、ご自身のメモにコピーしてください。名前や病院名は書かなくて大丈夫です。
つらさを話すことも、治療の大切な一部です。
「こんなことまで話していいのかな」と思うことからでも。参考にした情報
- 国立がん研究センター|緩和ケア ↗
- WHO|Palliative care(英語) ↗
- 日本緩和医療学会|苦痛に対する緩和ケア:トータルペインの概念(2023年・医療者向けPDF、冒頭) ↗
- 国立がん研究センター|がん相談支援センターって、どんなところ? ↗
- 国立がん研究センター|治療の時期にかかわらず全人的ケアを提供 ↗
- 日本看護科学学会|スピリチュアリティ ↗
情報確認日:2026年10月24日。原資料をもとに当サイトの言葉でまとめています。参照先の機関による監修・推奨を意味しません。
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